Red Pill とは
red pill(redpill: レッド・ピル)とは、そのまま翻訳すると「赤い錠剤」の意味になるが、スラングとして、「真実に目覚める」という大まかな意味を持つ語として使用される。具体的には、「目覚めさせる」「覚醒させる」「悟らせる」「啓蒙する」「教える」などの意味を持つ他動詞としてよく使用される。
また、名詞として、「厳しい現実を直視すること」 の意味でも使用される。
元ネタ
red pill の出典は、1999年に公開され大ヒットしたアメリカ映画「マトリックス(The Matrix)」である。映画の中で、主人公のネオが、モーフィアスという名の反乱組織のリーダーに次のように、青の錠剤(blue pill)か赤の錠剤(red pill)のどちらを飲むか選択を迫られる場面がある。
モーフィアス |
You take the blue pill - the story ends, you wake up in your bed and believe whatever you want to believe. You take the red pill - you stay in Wonderland, and I show you how deep the rabbit hole goes.
青を飲めば、ここで終わる。ベッドで目覚め、あとは好きに。赤を飲めば、このまま不思議の国の正体をのぞかせてやろう。
(映画内字幕より)
ネオは赤い錠剤を選び、真実ではないが自分にとって都合がよく居心地が良い幻想から目覚め、厳しくてつらいこの世の真実を知ることを選択する。
ネオ |
意味
このような経緯から、red pill は、「厳しくつらいものであっても現実を直視する」のような大まかな意味合いをもつスラングとして使用されるようになった。主に他動詞として、「真実に目覚めさせる」「覚醒させる」「悟らせる」「啓蒙する」のような意味合いで使用されるることが多い。
また、ただ単に「教える」の意味でも使用される。
例えば、「redpill me on ~」(~についてオレに教えてくれ(啓蒙してくれ))のような文型でよく使用される。
Blue Pill
反対に blue pill(ブルー・ピル)は、「自分にとって都合が良く居心地の良い幻想の世界に居続け、真実を直視することを拒否する」のような意味合いになる。ただし、こちらの単語は red pill に比べて使用頻度は低い。
男性運動家や Alt Right が愛用
このスラングは、現代はフェミニズムが行き過ぎていて男性に不利な社会になっていると考える男性運動家たちが、そういった現実を直視することを表すのによく使用される。また、Alt Right(オルト・ライト)と呼ばれるいわゆる「ネット右翼」の人たちもこのスラングを自分たちの主張にあう文脈でよく使用する。
例えば、「この世から差別はなくならない」、「人は平等ではない」などのような、彼らの主張する"厳しい現実"を直視する・させることを red pill といい、そしてそのような厳しい現実を直視し、真実に目覚めた状態を redpilled といったりする。
例文
Can someone redpill me on this game? Why is it so popular?誰かこのゲームについて教えてくれない? なんであんなに人気なの?
What was the biggest red pill you ever took?
今までで知った一番の衝撃の真実って何?
Who is the most redpilled politician?
最も真実に目覚めた政治家って誰だろう?
When were you red-pilled? Who gave you that pill?
お前はいつ真実に目覚めた? そして誰がお前を目覚めさせてくれた?